今月の寺宝

ここでは大覚寺に伝わります
絵画・文書類を中心に御紹介していきたいと思います。

達磨図


紙本墨画  一幅  102.3×48.6  江戸時代(17世紀)
雲谷等屋筆・蘭翁賛


 「雲谷」(白文円印)「等屋」(白文方印)が捺される。

 作者の雲谷等屋(ウンコク トウオク・1582~1615)は、雲舟の画系を標榜し桃山時代に一派を築いた画家雲谷等顔(1547~1618)の長男である(等益は次男である)。

等屋は早逝しているためか、現存作品は極めて少ない。
現在知られる限り、本図が等屋唯一の作品である。

 等顔や等益も達磨図(たとえば等顔筆徳隣寺本、等益筆知恩寺本)を描いているが、それらの作品と本図には表現において共通する点がある。

雲谷派研究においても貴重な作品といえる。
なお画面には蘭翁なる人物の賛文が記されるが、この人物については検索しえなかった。

(兵庫県立歴史博物館発行「寺院の絵画・大覚寺」より)

 
■寺宝よもやま話■   ~ 達磨大師 ~ 

 「達磨さんだるまさん、にらめっこしましょ」と、昔からこどもたちにも親しまれた達磨大師。

中国禅の開祖であり、広くインドから中国へと大乗仏教の思想を広めることに一命をささげた人です。

 達磨大師の教えで有名なのが、「徐綏じょかん」「唯浄ゆいじょう」「唯善ゆいぜん」という三つの教えです。

1、徐綏とは、「ゆっくり落ち着いて」という意味です。

2、唯浄とは、「心を清らかに」という意味で、自分だけの幸せにとらわれてはならない と教えます。

3、唯善とは、「正しい心で信じあおう」ということです。

 人は決して一人で生きるのでなく、多くの人々によって生かされているのだから、心ひろびろと清らかに、みんな信じあって生きよ、と教えられています。

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