今月の寺宝

ここでは大覚寺に伝わります
絵画・文書類を中心に御紹介していきたいと思います。

古城月影図


紙本墨画淡彩 一幅 168.5×96.0 江戸時代(19世紀)
長安義信筆


 「法橋義信」の署名と「義信之印」(白文方印)がある。
本図の作者は長安義信(1788~1868)とされている。

長安義信は赤穂に生まれ、土佐派の画人・佐野龍雲につき絵を学んだ画家である。

文政十年(1827)に法橋(ホッキョウ)位に叙せられている。
長安義信の作品は現在、赤穂を中心に比較的多く残っている。

本図は代赭(タイシャ)など淡彩を交えた楼閣山水図であるが、ここに捺される「義信之印」(白文方印)は法橋義信の印としては他に例を見ないもの。

また、署名にもやや疑問が残るため長安義信の作品であるか否かについては今後検討の必要があるかもしれない。


(兵庫県立歴史博物館発行「寺院の絵画・大覚寺」より)



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