大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2009年(平成21年)3月のミニミニ法話・お説教

2009年(平成21年)3月

玄禮和尚のお説法

2009年(平成21年)3月

~ 第012回 「東大寺の修二会」 ~

 3月に入ると東大寺の二月堂でお水取りの本行が始まります。

15日の明け方まで続く厳しい修行は、絶対秘仏とされている本尊・十一面観音に罪や汚れを懺悔して、国の平和を祈るのです。

 午後7時頃、籠もりの僧が大松明を振りかざしつつ急な石段を馳せ上がり、見上げるお堂の回廊に打ち据え、振りかざすと、燃え上がる炎は火の粉となって降 り注ぎ、それは壮観そのものです。

この籠もりの僧を「練行衆」と呼んでいます。奈良時代の天平勝宝四年から途絶えることなく今日まで続いているのです。

 天平勝宝四年といえば、大仏開眼法要が盛大に営まれた年で、華やかな天平文化が絢爛豪華に咲き誇った年でした。

けれど、その一方でお水取りというのは、奈良時代を通じて吹き荒れた血なまぐさい政治の権力争いや、あるいは疫病の流行や、飢餓などの社会不安の中で生ま れたということも忘れてはならないことです。

 絶えることのない人間の業。

千二百六十年の伝統も、そういう深い人間の業の自己反省から生まれているのです。
寒さに耐え、身を苛め抜く練行衆の懺悔の行は、この私の人間の業の反省でもあるのです。

 一枚皮をめくってみると、自分の本性が醜く顔をのぞかせます。そんな自分の罪・穢れを仏様の前に洗いざらいさらけ出して、心の底から許しを請う。

きっと仏様は、そんな私をやわらかいまなざしでじっと見守っていて下さる、と思います。


 
~ 神戸新聞文化センター 「心豊かな人生と仏教」講座のお知らせ ~

 4月から下記のように開講します。相田みつを・金子みすず・坂村真民などの詩や歌に学ぶ
仏教による心豊かな生き方講座です。日程と内容は次の通りです。

 4月7日  みんなちがって みんないい (金子みすずの詩と仏教)
 6月2日  美しき人になりたく候       (会津八一の歌と仏教)
 6月30日 その時の出会いが       (相田みつをの詩と仏教)
 7月7日  念ずれば花ひらく         (坂村真民の詩と仏教)
 8月4日  清貧の中の楽しみ       (橘曙覧の歌と仏教)
 9月1日  水のように              (黒田如水と水五則)


 いずれも火曜日・午後1時から
 会場は神戸新聞文化センター 姫路駅南の神戸新聞ビル3階
 受講料などのお問い合わせ  079-281-7566
 
 
 
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