大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2010年(平成22年)4月のミニミニ法話・お説教

2010年(平成22年)4月

玄禮和尚のお説法

2010年(平成22年)4月

~ 第025回 「花まつりに寄せて」 ~

 京都の永観堂に赴任してから、二ヶ月近くになります。
管長室に篭っていると、ついつい運動不足になるので、朝の勤行のあと、30分ほど歩くことにしています。

ここは歩くには絶好のロケーションで、総門を出るとすぐに「哲学の道」につながり、疎水べりを霊鑑寺まで歩きます。

 ちょうど今は花の盛りで、白い花はモクレンやコブシ。黄色は連翹や菜の花。そして赤は椿の花。
なんといっても哲学の道のメインは、桜。うぐいすの鳴き声を聞きながら、桜のトンネルの下を歩くのは最高の贅沢な気分です。

 この花の季節に「花まつり」があります。季節の花々で飾られた可愛いお堂のなかのお釈迦様の像に甘茶を注いでお祝いする「花まつり」。

 お釈迦様は2500年前、インドのヒマラヤのふもとでお生まれになりました。
父親の名はスッドダーナ。小さな国の王様でした。母親の名はマーヤ。

お産のために里帰りする途中で急にお産が始まり、ルンビニの花園でお生まれになりました。生後すぐに七歩あゆんで右手を高く上げ空を、左手を下に向けて地 を指差し、「天上天下唯我独尊」と宣言されたという伝説は有名ですね。

 産湯に使う水がないので困っていると、八大龍王が清らかな水を注いで産湯を使わせた、といわれています。
甘茶をかける風習は、ここから始まったのです。

 「天上天下唯我独尊」というのは、人間だれでも尊い、ということです。「人は生まれによって尊いとか賎しいとかいうことはない。行いによって尊くもな り、賎しくもなる」とお釈迦さまは言われます。

 私たちにできる尊いこと。それは「自分の幸せは後回しにして、今苦しみ、困っている人を助けるために努力する」。でもこれは、誰にでもできる、とはいえ ないかも知れません。

「毎日の生活の中の、小さな一つ一つを大切にする」。これなら出来ますね。

 私がこの世に生まれてきた日、その日は母さんが一番苦しんで生んでくれた日であり、多くの人から祝福された日であることを忘れないように、毎日を大切に 生きなければなりませんね。
 
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