大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2012年(平成24年)6月のミニミニ法話・お説教

2012年(平成24年)6月

玄禮和尚のお説法

2012年(平成24年)6月

~ 第051回 「拝啓、親父殿。」 ~

 先月は「母の日」について書いたので、今月は「父の日」について書かないと片手落ちになりますね。

六月の第三日曜日、いわば父を讃える日。「讃えられるようなことは別にしてないよ。ごく普通の親父だね」と謙遜することはないのです。

偉い親父でなくても、父親であることに変わりはないのですから。
誰もが例外なく父親のイメージを持っているはずです。

 頑固な父・まじめな父・頼もしい父・怖い父・優しい父・元気一杯の父・疲れきっている父・厳しい父・おもしろい父・友達のような父・働き蜂のような 父・・・・人さまざまに父親の思い出もあるでしょう。

 かつて、怖いものの代名詞に「地震・雷・火事・親父」といわれていました。今では「地震・雷・火事・女房」と変化していて、父権喪失の時代だといわれま す。父親本人がヤケ気味に「おれは月給運搬人だ」とか「おれは下宿人だ」と自嘲しているとか。

 でも、最近の父親の存在は、世間の評判ほどひどくはないようです。ある調査では中学・高校生の二人に一人は父親に満足しています。

父親が自分に対して暖かい、優しいと思っている子どもは83%もいるのです。もちろん「父親は厳しい」と答えた者も半数近くはいるのです。

理想的な父親は「家族から尊敬される男性」。しかし現実の方は、仕事でも家庭でも「いまいち自信を持てず、存在感が薄れている」と感じているようです。そ んなお父さんに、次のメッセージを贈ります。

◆優しい親父が本気で怒った。大きな拳で僕を殴った。
 痛かろう。僕よりも親父の心。ありがとう。親父の気持ち。
                      (岐阜県 二十歳 男)
◆父は学がないからと、体を使って僕らを育てた。
 愚痴ひとつ言わず、ろくに楽しみもなくただひたすらに働いた。
 「父さん、楽しみはないの?」 
 無口な父が一言、「おまえらが楽しみだ」 涙が出た。
                      (福岡県 三十二歳 男)
◆私には何も言わないくせに。いつも黙っているくせに。
 学校の先生に聞いた、父の言葉。
 「娘の夢のためなら、何でもします」。ずるいよ。お父さん。
                       (長野県 十八歳 女)
 ~ 【ちょっと照れくさい孝行のメッセージ】より ~

「どんな甲斐性無しでも、父親は存在するだけで価値がある」 と、曾野綾子さんが言っています。「父に慈恩あり」と釈尊は説いておられます。

世の父よ。少しは子どもの話相手になり、心を通わせあい、親子の絆を強めながら、生きていきたいものですね。 
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