大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2013年(平成25年)3月のミニミニ法話・お説教

2013年(平成25年)3月

玄禮和尚のお説法

2013年(平成25年)3月

~ 第060回 「泳げないペンギン」 ~

 去年、京都水族館に泳げないペンギンがいるというのが話題になりました。以前にも同じような記事を読んだことがあります。

関西のある動物園で生まれたペンギンは、両親の折り合いが悪いため、親から離して飼育係の人が人工で育てたのですが、一年二ヶ月ほどして外見は立派に成長 しているのに、プールに入れると溺れそうになるのです。

驚いて助けあげたものの、その後は水すらも怖がったという話です。飼育係の人はバケツで水をかけたり、浅瀬で水に慣らし、自分も泳いで見せたりして、数ヶ 月後にやっと泳げるようになったとか。

 動物は皆、生活するための能力を持って生まれてくるのです。が、その能力を展開させる機会を持たないと、そのまま埋もれてしまいます。そのためには、親 と子を取り巻く環境が大切なのです。それは、人間の子どもも同じです。

 戦前と戦後にわたって、日本の婦人参政権運動を主導し、永年参議院議員を勤めた故・市川房枝さんが、「早く自立する子どもを育てる三つの法則」を次のよ うに述べています。

一、小さい時から自分のことは自分でするよう躾けること。
二、家事労働や弟・妹の世話など、家の手伝いをさせること。
三、自主的に勉強する習慣をつけること。

これが出来れば強くて優しい、正義感あふれる子どもになる。その努力を両親に期待する、と市川女史はいわれています。

 時代が変わっても、子育ての基本的な法則は変わらないのです。ただ、市川女史の提言には、家庭における情操、つまり「こころの教育」が述べられていませ ん。

できれば母乳で育てること。
幼い時から子守唄や童謡を歌ったり、絵本や昔話、童話を読み聞かせること。

さらに言えば、家族そろってお仏壇やお墓にお参りする習慣があって、先祖を大切にし、生かされている命の尊さに気付くこと。

そうすれば「いじめ」も少なくなるのではないでしょうか。


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